完成体をお求めの方がいらっしゃいます。色々な理由があって模型を作れない・・ そこで、そういう方のために、依頼があれば、完成体の製作もやってまいりました。
 銀英伝の艦船のオーダーもしかり。
 アルバ製品の完成体はスタジオ・イーヴァさんに今までお願いしていましたが、スケジュール上、今回より私も参加する事になりました。
 実は私は今まで「銀河英雄伝説」を見た事も読んだ事もありませんでした。(おいおい
^^
 そこで、「
メカニカル・フォト・ファイル」とソフトを3本ほど用意してもらいました。
 で、とりあえず鑑賞。なるほど面白い作品です。戦艦もかっこいいですが、物語も楽しめます。ただこの時に借りたソフトは総集編的な2本と「バーミリオン戦役」の前後の1本(14巻)。
 私は造形の際に図面とにらめっこをして作るタイプではなく、結構BGVなどを利用してテンションを上げるタイプなのです。3本ではモノたりな〜〜い・・・
 そこで、レンタルビデオ屋にて「銀英伝」をチョイス。常に作業中はそれを流しました。
 今回は複数の艦を受け持ちましたので、それらの塗装までにほぼ10巻まで見終わりました。
「メカニカル・フォト・ファイル」で艦の概要は十分わかりましたが、やはりプラスαの感情移入があったほうが作る際にも楽しいです。「クヴァシル」を駆るメックリンガー提督などは「メカニカル・フォト・ファイル」で読んだ説明だけよりは格段に好感度アップです。
 ぁあ、ハマッてしまったあ。(苦笑)
作例としてフォルセティを作る
 そこで今回は、「フォルセティ」の製作について少々書かせていただきます。
 製作参考例として読んで下されば幸いです。
 
 キットの部品構成は「本体」「後部噴射口」という2個の硬質ウレタン(キャスト)パーツ、それに加えてメタル製の4個の「後部アンテナ、2枚の「垂直尾翼」と非常にシンプルに出来ています。
 キャストパーツは精度が良く、パテなどで修正する部分はありません。
 注意としては、成型時に複雑な艦体形状を再現するため、分割線(パーティングライン)が微妙な位置に設けられているため、あせらずにそれを消す事ぐらいです。
 あとは離形剤のシリコンオイルが若干強めのようなので中性洗剤などで丁寧に表面を洗浄します。特に噴射口の内側などは落ちにくいので気をつけます。
 その後サーフェーサーを表面に吹いて必要があれば各パーツの表面を修正します。
 メタルパーツはガレージキットを製作した経験のある方でもあまり扱った事がないパーツかもしれません。キャストパーツと比べて特に注意する点は、
1)整型の方法
2)下地処理の違い
3)接着時の注意
です。
 
1)の整型の方法ですが、通常は普通のカッターナイフで十分です。ただしさすがに堅さがキャストよりあるので一度で整形しようとせずに少しづつ行いましょう。大まかな形が出来たらペーパーなどで仕上げていきます。
 次の
2)、下地の処理ですが、メタルはキャストに比べて塗料ののりが非常に弱いです。そのために「メタルプライマー」という専用の下地処理剤もありますが、単純な形のパーツの場合には粘度の低い瞬間接着剤を表面にコーティングしたりして代用する事も可能です。(ただし複雑な形のものは必ずプライマーを使いましょう)
 メタルパーツの表面を400番、800番くらいの粗さのペーパーでで整えた後にまず表面をコーティングします。
 表面が荒れていた場合はコーティングした後にパテ類を使用して整えますが今回はパーツが良く出来ていたので必要ありませんでした。
 
3)の接着に関してですが、これは「気を付ける」という以外に手は無いようです。塗装と同様に非常に接着されにくいです。瞬間接着剤を使用しますが、接着前にその部分の表面をわざと荒らして接着の強度を高めます。高強度の接着剤を使用して根気よく固定するという方法もありますが、通常は逆に低粘度の瞬間接着剤で仮に固定し、隙間へ丁寧に流し込めば大丈夫でしょう。

 各部品を接着した後に仕上げのサーフェイサーで表面を整え、塗装に入ります。
 さて、「フォルセティ」の色ですが、確かに作品中でも帝国軍の艦色は微妙に違うようです。ケスラーは焦土作戦の際の対応でもわかるように非常にまじめな人物と思われましたので標準的な帝国軍艦色とします。「メカニカル・フォト・ファイル」に書かれている色の配合でも良かったのですが、今回は白を基準に明灰白色、ダークグレイなどの灰色系の色を数色と青をほんの僅か加えています。
 「アキレウス」は「メカニカル・フォト・ファイル」の裏表紙に載っている同盟軍艦に近い明るめのグリーンを調色、「アイアース」は説明書の指示に従い、土草色を基準に調色しました。
 塗料は後の作業の事を考えて全てラッカー系です。
 塗装はまず全体に「帝国軍艦色」を数度にわけて吹き付け、その後各部に色を塗っていきます。艦体横の球体部分にメタルカラーを塗ります。艦表面の機械部分は黒を塗った後で黒鉄色をドライブラシ、部分によってはシルバーを混ぜてアクセントをつけます。
 最後にエナメル系塗料の黒を使って墨入れ。これによって全体のメリハリをつけます。
 今回は実際の艦の大きさと注文品という事で汚し塗装はほとんどおこなっていません。しかし場合によっては「スターウォーズ」のような実写風の表面の塗り分け塗装も面白いかもしれません。(宇宙空間でも星間粒子や破片によって細かい擦り傷がつき塗装の劣化もあると思いますし、戦況によっては破損した装甲の交換をした際にも全艦塗装はしないかもしれないので)もっとも全長が1000メートルにも到るような艦がゴロゴロ登場する大きな規模ですから、極端にこまかい汚し塗装はムシロ御法度です。
 デカールを貼った後、その保護と全体の質感の統一のため半艶消しのクリヤーを吹きます。墨入れにエナメル系の塗料を使用しましたが完全に乾燥していればこのクリアーはラッカー系のもので大丈夫です。乾燥しきっていない場合は塗料が干渉して変色する場合がありますので各塗料の乾燥は十分注意が必要です。
 以上で「フォルセティ」は完成しましたが、製作の際に気づいた点を少し補足します。
 これからアルバの艦船を組み立てる方は、参考にしてください。
 このシリーズ、特に同盟軍戦艦には下部前方にある板状のアンテナを再現するために銅製の
エッチングパーツが付属しています。これらはメタルパーツ同様に加工するために少々工夫が必要です。
 まず基盤のようになっている板状パーツから必要な部分を切り離すのですが、これは切断部分が非常に細いので通常のカッターナイフで行うのがベストです。
 例えば「アイアース」に関してはこのままの大きさで使用しますが、「アキレウス」と「アイアース」付属のミサイル艦についてはこれを加工してミリ単位で大きさを変更しなくてはなりません。ニッパー、金バサミといろいろと切断方法を考えたのですが、非常に細かい部品のため結構切断の際にゆがみが出ます。
そこでカッターナイフで何度も筋彫りをした後にニッパーで丁寧に曲げながら切断します。この方法でもゆがみはでるので切断後に堅い平面上で板金作業をして平らに戻します。切断面はペーパーにあてて仕上げますが、この時にラジオペンチなどで保持する際はちょっと押さえただけで表面が変形しますので注意してください。私は指先で固定して作業しました。またペーパーは400番より細かいもので時間をかけて整形したほうが良いようです。塗装はメタルパーツ同様です。
 エッチング製のアンテナパーツは説明図では解りにくいですが根本近くまで切断して本体に開けた0.4ミリの穴に差し込み固定します。
 またアンテナ用の真鍮線の固定は本体のキャスト部分になるべく深めにピンバイスで穴を開けて固定します。付属の真鍮線が不足する場合は各自で同じ径のものを追加したほうが良いでしょう。
 これで戦艦製作は無事に終了しました。作品にもハマッてしまったのでこれから個人的にも製作してみたい艦も出てきました。
 とくに「ブリュンヒルト」は、これはやはり定番ですね。
 インテリアモデルとしてはパールカラーもありかなと思っています。スケールモデルとしては邪道の域に入るかもしれませんが、机の上に飾ったら、なかなかソレもいいんじゃないかと思っていたりします。
(C) 田中芳樹・らいとすたっふ・徳間書店 - TKVW.2002
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